環境と家づくりの関係
ゴミ問題から考える家づくリ
【環境と家づくりの関係】
これから家づくりを始める方へ
これから住宅建築を学ぶ方へ
これから住宅建築に携わる方へ
安心で快適な家のために、
設計時の環境対策を
住環境ジャーナリスト/中野 博
住宅というものは、施主が設計段階から参加でき、建物の大きさ、外観、間取り、使用材料、使用設備など、実に多くの選択が可能なのです。ですから住宅を考える場合には、建築家および建築会社だけでなく、実は施主にも果たす役割が大きいと言えます。環境の時代といわれる昨今では、施主の方も環境対策がなされた家を志向する傾向になってきていることを、ご存じでしようか?
環境問題はその取り扱う範囲があまりにも広いため、住宅との関連については「省エネルギー」の観点でのみで議論されることが多いようです。しかし、実は設計段階から最終処分段階までを見渡せば、建築家だからこそ取り組める環境対策があるのです。これから建築を志す方には、環境問題を含めてトータルな視点で建築を考え、明日の日本建築に貢献していただきたいと思います。
では具体的に、設計時に何をどこまで考えることが環境配慮につながるのでしょうか。ここではこの点について処分段階、使用段階、設計段階の三つの段階で論じていきます。
その一/ゴミ問題から考える家づくリ
家づくりに役立つホームページ
全国エコビルダー名鑑
■ゴミ問題から考える家づくリ
私たちが住んでいる住まい、そしてこれから建てられる住まいも、いつかは壊され、ゴミとなります。いささか乱暴ですが、現実には建設系廃棄物は産業廃棄物全体の4割を占めているのです。
新しい家を建てるには、多くの資源やエネルギー、そして時間とお金と労働力が必要で、その際にも多くのゴミが発生します。特に最近は、建て替えをする方が多くなってきましたが、一般的な家の解体時に発生するゴミ(建設系廃棄物)は、少なくとも4トントラック8台分ほどになるのです。まず家を造る前に、この現実を知らなければなりません。多くのゴミは処分場に運ばれ、焼却施設で燃やされているのですから。ゴミによっては、処分が困難なものや、処分時にダイオキシンを発生させたりして、地域住民を恐怖に陥れているものまであります。こうした危機意識があるため、産業廃棄物処理施設反対運動も起こっているのです。深刻な問題です。こうした社会の風潮により、行き場を失ったゴミは、心ない人々により山林などに不法投棄され、私たちの美しい自然が破壊されている事実も知っておきましょう。
処分時にダイオキシンなどを発生させる危険なゴミは、新建材(自然界にない化学工業製品で、主にビニールクロスや接着剤、塗料。1970年頃に登場しています)のしわざです。特に塩化ビニールクロスやクッションフロアーなどの塩ビ製品や、プリント合板など数々の一見便利な建築材料がその代表格です。
施工時には安くつき、作業も簡単であることから、建築業界では標準的な材料になりましたが、使用時だけでなく、処分する際にも、大気を汚染するだけでなく、ダイオキシンなどの環境ホルモンを発生させ、土壌や水資源をも破壊しています。
こうした危険なゴミが自然界を汚染し、結果として私たちの食料を汚染し、やがて私たちの食卓に現われ、毒の循環がなされるのです。環境を考えた建築とは、こうした循環、あるいは生態系までを考えての、総合考量に裏づけられた建築を言います。
20世紀後半は大量消費杜会でした。家も実に多く造られ、しかも化学工業製品(新建材)全盛時代でした。日本では、造られた家が世界一早く壊されているという、残念な事実もあります(平均建替え年数26年=国土交通省統計資料より)。ゴミになったときに危険な材料を使い、しかもゴミになるまでのスピードが世界で一番速いという現状を知り、"家を建てる責任"(モノづくりの責任)を強く感じてほしいのです。
環境問題は、前の世代のツケが後世に大きな負の遺産として登場します。もし、あなたが環境視点なく建築に当たれば、そのツケはあなたの子どもたちに大きな負担を与えることになるのです。環境時代の今日、建築家は社会のリーダーとして美しい地球を守るためにも、子どもたちの未来のためにも、最終段階まで見据えて建築に当たるべきなのです。
1996年に、環境先進国スウェーデンのヨーラン・ぺーション首相は、国会の演説で次のように語っています。
「わが国は将来、エコロジー的に持続可能な開発を実現させ、世界の模範国となろう。エネルギー、水、各種天然資源のより効率的な利用なくしては、今後の社会の繁栄はありえない。それぞれの世代にはビジョンが必要だ。前の世代のビジョンは、貧しかったスウェーデンを「福祉国家」にすることだった。私たちのビジョンは、この国を「持続可能な国」とすることである(要約)」
環境先進国と呼ばれる同国では、社会保障と並ぶ社会政策の一環として住宅政策が位置づけられています。住宅庁で住宅に関する法律づくりを担当するベント・リドストーム建築サービス部門部長は、こう教えてくれました。
「私たち人間は安心して快適な暮らしのできる家に住む権利があります。この権利は人権の中でもっとも基本的なものです。住まいも重要な環境のファクターですので、エネルギー効率を考え、より快適な空間にするための各種法規や規則があるのです」
スウェーデンでは、安全で健康的な生活を送るために、「安心で快適な家に住む権利」を守るとともに、持続可能な開発をエコロジー視点で実行しているのです。
【PR】家づくりに役立つホームページ
全国エコビルダー名鑑








