出版実践会
シックハウスから身を守るために
──他人事ではない!シックハウス
最近、「新築病」とか「シックハウス症候群」とか呼ばれ、新築の家やリフォームしたてのお宅が原因で、具合が悪くなる人が多くなっています。
「新築の家に入居して数週間後に、体の変調を訴えて診察を受けに来る人が増えてきました」
と、小児科でアトピーやぜんそくの子どもを多く診断してきたある医師は言います。
新築だけでなくこれはリフォーム工事によってもシックハウス症候群と呼ばれる同様なことが起こっているのです。
「ある専業主婦の方ですが、新築住宅に引っ越してから数日後、激しい頭痛になりました。感染症の疑いはなかったのですが、頭痛はひどくなる一方でした。近所の祖母の家で休むようすすめると、10日ほどで症状は治まりました。ところが、その一年後、子ども部屋の壁紙(塩化ビニールクロス)を張り替えたところ、また一週間してふたたび頭痛が始まり、今度は子どもにもぜんそくの症状が現われてしまったのです。そこで、子ども部屋を使わないように言って、換気をさせたら二人とも症状が幾分治まりましたが、まだ完治にはいたっていません」
わずかながらのリフォームにおいても、シックハウス症候群と呼ばれる症状は発生するのです。
一般に、私たちは一日の時間のうちおよそ80%を屋内で過ごしています。生活や休息のために過ごすこの場所が、有害化学物質で汚染されているとしたら・・・!? シックハウスは決して他人事では済まされませんね。 シックビル(事務所や店舗)、最近ではシックカー(自動車、新車のニオイです)など、私たちの身の回りには化学物質の危険がいっぱいなのです。
ではシックハウスはいったい何が原因なのでしょうか?
住宅建材に使われる合板や木材の中には、防腐剤、防カビ剤、防虫剤などで処理されているものがあります。とくに、防虫、シロアリ駆除という名目で使用されている化学物質は、クロルピリホス、ホキシム、フェニトロチオンといった有機リン系の殺虫剤です。
畳にもダニの発生を防ぐという目的で、フェニトロチオン、ダイアジノン、フェンチオンなどの有機リン系殺虫剤を染み込ませた防虫加工紙が縫い込まれているものがあります。
これらの有機リン系の農薬が室内空気中に揮発し、人体にさまざまな影響をおよぼし、そのひとつがシックハウス症候群なのです。
──化学物質過敏症のメカニズム
こうした化学物質が引き起こす深刻な問題が「化学物質過敏症」です。化学物質過敏症とは、量が少なければ安全というこれまでの毒物学の常識をくつがえし、中毒やアレルギーを引き起こすよりももっと低いレベルの、ごく微量の化学物質にさらされつづけたことによって引き起こされる健康障害のことで、その原因となる化学物質や現われる症状は千差万別ですから見抜けないことが多いのです。
早い話「化学物質過敏症」は、症状が出てはじめてわかるというとてもやっかいなものです。化学物質によってアレルギー症状が生じれば、原因物質の究明には乗り出せますが、もともと化学物質過敏症は、本人に自覚のない場合が多いのです。
肩こり、頭痛、めまい、吐き気、喉が痛い、咳が止まらない、なんとなく体がだるい、疲れやすい、カゼをひきやすい、記憶力の低下が激しい……。
仕事が忙しくて疲れがたまっているせいだとか、更年期障害、心因症などと思われがちなこれらの症状が、ごく微量の化学物質によるものだということが日本で知られるようになり、シックハウスや化学物質過敏症という言葉がマスコミに取り上げられるようになったのは、ごく最近のことです。
前出のお子さんのように、住宅の建材に含まれる化学物質の被害者も増えています。食物アレルギーを併発するなど、症状が拡大していくことも多いようですし、すでに日本では10人に一人が化学物質過敏症の症状を持っているともいわれています。
早くからこの問題に着目し、研究を重ねてきたある専門家は、化学物質過敏症のメカニズムをこう説明しています。
「人間の体はコップと同じです。蛇口から注がれる水をコップが受け止めるのと同じように、有害な化学物質は体内に蓄積され、ある一定量までは許容されます。しかし、体の中に入ってくる化学物質の量が人体の適応能力を超えると、コップの水があふれだすようにさまざまな症状が出てしまうのです。また、特定の化学物質に長期間にわたってさらされ続け、いったん症状が出たあとでは、ごく微量でも同じ物質に過剰に反応してしまいます」
──健康への先行投資。エコ住宅、エコリフォーム
見栄えは良くても危険性のひそむ家やマンションを買ってしまう人がたくさんいます。しかし、家族のだれかがシックハウスによって病気になれば、病気になった本人だけでなく、家族全員が時間的・経済的・精神的に大変な影響を受けるのです。
ですから、これから住まいを手に入れようとする人や、リフォームやメンテナンスなどを考えている人は、あくまでも自分たちの健康のための先行投資と考え、徹底的に健康を重視したプランを練って、予算の許す限り健康に配慮したシックハウスのない家づくりをしていただきたいと思います。
健康エコ住宅やエコハウス、エコリフォームを実践している工務店さんやエコビルダーに相談して、使用する材料などを改善すれば、多少は価格が高くなりますが、健康を害する家をつくってしまうことはありません。
シックハウスはいつかかってしまうかわかりません。かからないかもしれませんがかかってしまうと本当に大変です。
「めんどう」だからとか「お金のやりくりがたいへんだ」といっているうちに、シックハウス症候群にかかってしまい、多額の医療費の支出を強いられ、お金の負担ばかりか精神的にも苦痛を強いられることを考えると、エコ住宅、エコリフォームは、家族の健康のための「投資」あるいは「自己防衛」だと考えたほうが良いかもしれませんね。
(ロハスプラザレポーター・新田)
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